昨年、ねこのわなら経由で依頼のあった、天理でトライアル中に脱走した「サンタ君」の捜索をしていました。



「サンタ君」は茶トラの可愛い子で、我が家にも茶トラの「茶々丸」が居て、他人事じゃなかった。
脱走してちょうど100日目の2024年10月20日。
トライアル先の家から約4キロも離れた民家で発見されました。
その方のお宅に1カ月ほど前から突然現れた。シャム風の猫とともに。
それからずっと餌をあげていたと。
保護主である依頼者が最後の手段で、範囲を思い切り広げて折込チラシを投函。
その方の目に留まって、連絡をくださったという、奇跡。依頼者の執念。
100日という時間は途方も長く感じられました。
私も何度も天理まで足を運び、チラシを配り、カメラをセットして引き取り画像チェックをして、というのを繰り返していました。
捜索しての帰りに何も情報が得られず、何度も涙して帰路についた。
絶対、脱走させてはいけない。思い切り自分の教訓になりました。
ところが、サンタ君脱走から約1年後の2025年10月16日に我が家のララちゃんを脱走させてしまいました。
ララちゃんは今年の2月に、奇しくもサンタ君発見宅のすぐ近く、天理のTNR現場で保護した子でした。
我が家には毎日、首輪をした去勢済みの「どんちゃん」が餌を求めてやってきています。
その日も小雨降る中、体を少し濡らしながら玄関前に現れました。
エサをあげるために、何度か家の中と玄関先を行ったり来たりしていました。
満腹になったようで、さっさとどこかへ行ったので家に戻り、家猫5頭と戯れようと、ララを探したら、どこにも居ない。
何度も何度も家を探すが姿が見えない。
「まさか!?」不安が脳裏をよぎりました。
開けた玄関のドアの一瞬を縫って出ていったのか!?
外に駆け出しました。
「ララ、ララ」と何度も呼んだ。
その時、僕の目の端に何かがよぎりました。
あの尻尾の形はララ。
確信しました。脱走した。
目の前が真っ暗。
サンタ君の悪夢が脳裏をよぎり、一瞬絶望を感じた。
どうしたものか。
ねこのわならの皆さんに助けを求めました。
「玄関を開けて餌と臭いのついたタオルケットを置いておく。」
家猫4頭を部屋に閉じ込め、玄関を少し開放して、横の部屋の窓から外の様子を見ていました。
小雨は相変わらず続いている。
こんな中、可愛そうに。
そう思っていたら、玄関の前の三段の小さな階段の真ん中に猫の影が。
玄関先を覗いている。
騒がず見ていたら、スッと姿が消える。
でも気配がある。
駐車場あたりで気配がする。
嫁さんが、心配のあまり外に出て声をかける。ララ、ララと。
車の下にかがみ込み除く。「ララちゃん、何やっているの?!帰ってきなさい」と声がした。
やはり気配は当たっていた。
しばらくしたら嫁さんが戻ってきて「あかん、どこかに消えた」
もう追いかけることはやめよう。
そういって部屋の窓からじっと外を見つめる。
脱走したのが19時過ぎ。時計は23時に近づいていた。
メンバーのおひとりが、夜中捕獲するために、わざわざ家まで捕獲機とカメラを持ってきてくださった。
1時頃までは張り込みをしようと思っていた。それでも帰ってこなければ捕獲機をセットするしかない。
雨は止んだ。
よかった。
でも、家の周りからララの気配が無くなっていた。
多分、どこかに行った。
気配を感じないまま時間が過ぎていく。
23時30分を過ぎたころ。
突然上の方から猫が猛ダッシュで駆けてきた。
まさにダーって感じ。
間違いなくララだ。尻尾の特徴が同じ。
一目散に走って駐車場に止めてある車の下に入った。
我慢した。
じっと見つめていると、玄関前に姿を現した。
「入れ!」
心の中で祈った。
すると、ララは玄関ドアに吸い込まれていった。
「よっしゃ!」
ものすごい安堵感。だけどここで焦ってはいけない。
しばらく待つ。出ていく気配がない。
そっと音を立てずに、部屋のガラス戸まで移動して、食堂のところを見ると、ララが食堂や応接間のドアを見ている。
いまだ!
ドアを開けて部屋をゆっくり出た。
ララが察知した。こちらを見ている。
僕はララを少し威嚇して、一目散に玄関のドアを閉めた。
ララはどの部屋にも階段にも入れない状態で少しパニックになっている。
階段へのドアを開けてあげたらものすごい勢いで二階に駆け上がっていった。
腰から崩れ落ちた。
「ララ、帰ってきた」
嫁さんにそう告げた。
地獄から天国。
ララはしばらく恐怖で固まっていたが、1時間ほどしたら妹分のナナと遊べるようになった。

皆さんも、本当に脱走には気を付けてくださいね。
もし、脱走させてしまったら、
・絶対大きな声を出さない。直視しない。
・しばらくは家の周りに留まるはずだから、優しい声で呼びかけてあげてほしい。
・絶対に帰ってくると信じること。
・慌てないこと。追いかけまわさないこと。脱走直後は探しまわさないこと。
・とにかく落ち着いて待つ。そして、出ていったと思われるところを開けておく。
脱走中、ララの気配を感じていた。
まだ半年くらいしか一緒に住んでいないけど、見えない何かで繋がっているんだと思った。
